きやま牧場のグラスフェッドジャージー牛 センマイ 200g【冷凍】
こちらの商品は、冷凍便orチルド(冷蔵)便にてお送りします。
※チルド便の場合、賞味期限が短くなります(発送日より1週間)のであらかじめご了承ください。
常温便との同梱は可能です。その場合、まとめて冷蔵便にて送らせていただきます。冷凍便を選択した場合、一部の常温便・チルド(冷蔵)便の商品との同梱はできませんので、2個口発送となります。
チルド(冷蔵)便での発送の場合は、賞味期限にかかわらず発送日より1週間以内にお召し上がりください。
放牧ジャージー牛の“センマイ”
佐賀県の山中の牧場「きやま牧場」で放牧にて育てられたジャージー牛の3番目の胃にあたる部位“センマイ”。名前の由来は何枚ものひだがあることからの“千枚”です。
シャキシャキ、コリコリした歯ごたえのあっさりとした脂肪の少ない部位です。焼肉や炒め物、煮込み、酢味噌和えなどに。
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ジャージー牛の放牧に挑戦中!「きやま牧場」
九州の高速道路が交わる九州自動車道・鳥栖ジャンクションを降りてそこからどんどん山の中へ。佐賀県基山町、自然に囲まれた福岡県との境に、ジャージー牛の放牧酪農を行っている「きやま牧場」があります。
きやま牧場は「山地(やまち)酪農」という酪農スタイルで放牧を行っています(山地酪農とは、日本の大部分を占める山地を生かし、山の中で牛を放牧させる酪農スタイルです。365日昼夜放牧を行い、勾配のある山林を牛が歩き回る事で足腰を鍛え健康的な身体が作られます。牛は山に自生している草や野シバを食べ、その糞がまた土壌に還る事で新たな草の芽吹きを促す循環型の酪農です)。
牧場主の浅生忍さんは、この山の耕作放棄地や原野だった場所を手作業で開拓し、2019年よりジャージー牛の放牧を行っています。
浅生さんはもともと、熊本県で酪農をしている家の出身。ご実家は現在も繁殖農家として子牛を育てています。浅生さんはもともと家の仕事を継いでいましたが、その酪農の方法には消極的でした。ご実家では牛舎の中に牛をつなぎ留めて飼う「つなぎ飼い」でした。自分自身の牛への接し方に対し浅生さんは「自信を持って消費者の方に見せることができない」と感じていたそうです。
正直に言えば好きではなかった酪農。そんな酪農を好きになるために、「自分が誇りを持って消費者に見せられる酪農」というものを考えていた浅生さんは、とある牧場を見学に訪れます。
そこはきくち村でもおなじみ「玉名牧場」。熊本県玉名市にある標高200mの山頂を切り開き、2000年よりジャージー牛の通年放牧を行なっている牧場です。自然の営みを手本とした放牧地では牛が山を歩き回り、草を食べ、のんびり暮らしていました。そんな牛たちが浅生さんには「輝いて見えた」といいます。
そんな玉名牧場をお手本に持続可能な酪農を目指した浅生さんは、その後岩手県で山地酪農を行う「中洞(なかほら)牧場」にて研修をしたのち、この佐賀県基山町の土地を開墾し、柵を作り、ジャージー牛を飼い、牧場をスタートさせました。
放牧地は数ヶ所に分かれ、牛たちは移動しながら草を食べるそうです。開墾の状況は現在、土地の半分未満。放牧地はさらに広くしていく予定です。
取材時に牧場にて暮らしていたのはジャージー牛のメス、十数頭。玉名牧場からやってきた牛さんもいるそうです。餌はもともと山に生えている草と、畑で種を蒔いて育てた牧草と近くの河川敷から刈ってきた草をメインにして、他に搾乳等のために牛の行動を習慣づけるためにオヤツとして米ぬかを与えています。配合飼料を与えず、牛が本来生きていくために必要としているもののみを与えたいと考えているそうです。
牛達は思い思いに草を食べ、陽が出てきたら木陰に寝そべり、のんびりと過ぎゆく時を過ごします。柵の外に出て草を食べている子牛もいます。牧場の除草になっているとのことです。
そんな姿を撮影しようと思ってカメラを構えるのですが、好奇心旺盛な牛さんが鼻息とともに近寄ってきて服やバッグをクンクン、ペロペロ。こちらとしてはどうぞお構いなく草を食べてくださいと思っているのですが、どんどんやってきます(笑)。
人のいるところに寄ってきて、お互いにコミュニケーションをとり始める牛たち。浅生さんはそんな牛を優しい目で見つめています。
メスのジャージー牛ですので生乳を生産しています。今のところ近くのお菓子屋さんなどに材料として卸しているということです。ゆくゆくはアイスクリームなど販売出来るように設備も整えたいとのことですが、現状を言えば、牛だけではまだ赤字。牧場の奥には鶏も飼育しており、卵も販売しています。こちらも近隣の食品店さんへの卸しがメインだそうです。
小屋で囲っても、鶏が野生動物に襲われてしまうことはしばしば。先日もキツネの襲撃があったそうです。
2024年春。6年目のきやま牧場では、牛との「お別れ」がありました。お肉にするための出荷です。実家ではごく当たり前のことと受け入れていた浅生さんですが、牧場を開始してから初めての「出荷」は、悩みに悩んでの決断だったそうです。
浅生さんのSNSには、“運ばれる牛を見て僕が思うのは『ありがとう』なのか『ごめんね』『仕方ないのよ』なのか。今はまだ自分の『牛飼い力』の低さから、『ごめんね』のほうが勝っている気がします。”と綴られています。
きくち村スタッフの滞在時間はわずかでしたが、牧場にいた牛たちのやさしい顔つきとその目を見て、きっと牧場主に愛情込めて育てられているのだろうと感じました。
山の木々に囲まれ、鳥のさえずりが聞こえる手作りの牧場でのんびり、のびのびと育ったグラスフェッドジャージー牛のお肉、噛み締めていただければ幸いです。