自然派きくち村

自然栽培、農薬・肥料不使用のお米とお野菜。
ストレスをかけない放牧された牛、豚、鶏のお肉。
こだわり抜いた調味料。それらを使用した惣菜にスイーツ。

きくち村の小さな旅 第5回「昔のお米を食べる 3月」 第5回

 3月のとある日、きくち村の店舗にイケメンの青年が訪れてきた。「渡辺社長はいますか?」 その日、代表の渡辺は不在しており私が代わりに対応した。この青年こそ後に登場する森賢太さんだ。「200年前に栽培されていた熊本在来のお米を是非、試食してください!」「このお米は穂増という品種です。江戸時代末期、日本のお米相場を左右するというまで言われた肥後米。その肥後米の主流が穂増だったんです。その穂増を復活させ、もっと多くの生産者にこの種を広めるための活動をしています!」目を輝かせ熱く語る姿に圧倒されながらも興味深い話しに気が付くと私も身を乗り出し話を聞いていた。

 後日、スタッフでその穂増を試食し、今のお米にはない独特の香り・個性的な味わいに 衝撃をうけ、想像していた味よりも素直に「旨い!」と感じた。数日後この出来事が心に残りつつ接客をしていると、これまたイケメンの青年が「昔のお米の品種で雄町は販売していますか?」とマニアックな質問。ニンマリしながら「もちろんあります!」と談笑しながら詳しく話しを聞くと昔のお米の品種に興味があり調べていくうちにきくち村にたどり着いたとのことだ。そのお客様に「穂増はご存知ですか?」と得意げに質問してみた。「聞いたことがあります!」なんとマニアックなお客様。この瞬間、“昔のお米の食べ比べ”企画を実現すると心に決めた。

 “昔のお米の食べ比べ”といってもそう簡単にお米が見つかるのかと不安に思っていたが、とりあえず頭に浮かんだ生産者に尋ねてみた。なんとわずか15分程で4種の昔のお米品種が揃った。恐るべしきくち村!そろったお米は雄町・亀の尾・旭一号・穂増の4種。生産者も個性的な面々でベテラン自然栽培米農家の「冨田親由さん」、きくち村若手注目株の自然栽培米農家「實取義洋さん」、発酵職人ジャー村君こと「村上厚介さん」、冒頭に登場した「森賢太さん」の4名。これは面白い食べ比べになる!最初の不安は期待へと変わっていた。

 食べ比べ当日、室原姉さんと一緒に慎重に炊飯の準備に取り掛かった。同じ条件にするために同じ水の量、炊飯器も同じ機種にし一斉にスイッチオン! ちょうど炊き上がった頃に食べ比べの参加者が集まりだした。今回の参加者は4名の生産者以外に約10名、その中にはきくち村でも人気のお米「もっこす米」生産者の霍田さんの姿もあった。何を隠そう霍田さんはお米生産者でありながらお米ソムリエの資格をもついわばお米食味鑑定のプロである。

 霍田さんに食べ比べの際のコツを聞きながら、食べ比べが始まった。今回は昔のお米と比較するため基準を自然栽培のヒノヒカリとした。参加者皆、真剣な表情でお米の色・香り・ 食感などを確かめながら慎重に感想を書き込み、再度確認のため試食する。明らかにヒノヒカリとは違った食味ということは全員一致したが、昔のお米の4品種については品種を隠していたため4名の生産者も自分の栽培した品種を当てるのは難しかったようだ。

 試食がひと段落し、第一印象で自分の好みのお米はどれか聞いてみた。一番票が多かったのは「亀の尾」であった。全般的にはさっぱりした旨みで、粘りは少なく、やさしい味のお米という意見が多かった。初めて昔の品種のお米を食べた参加者も数名いたが、初めは「なんかパサつく感じがある」とのことだったが、食べていくうちに「噛めば噛むほど味がでてきて、何かクセになる味だね!」「懐かしい味がするね」という意見も飛び交っていた。

 食べ比べが終わったら、自然と参加者が集まり昔のお米について座談会が始まった。

坂本「今回の食べ比べどうでしたか?」
参加者「亀の尾が一番甘かった」「食感は硬いけど味があった」「意外と美味しかった」
   「私はやっぱりヒノヒカリが一番よか」などいろんな意見があった。
霍田さん「今の品種は甘みと粘りを追求していて味的にはピークになっているので昔の品種とはまったく違うね!旭一号なんかはさっぱりしているからお寿司なんかに相性がいいよね」

冨田さん「穂増が一番印象的だった、ばってん全部旨かった!」
實取さん「普段食べているお米が旭一号なのですぐわかると思いましたが、意外とわからなった。ヒノヒカリに比べて一つ一つ個性があってとても勉強になりました」
村上さん「亀の尾が一番甘みを感じ、他の3種は似た印象でした。昔の品種はやっぱりパサパサしていますがその方がお米を食べている感じがして美味しいと感じます」
森さん「穂増は熊本の在来品種です。穂増が一番野性的な味だと実感しました」

坂本「昔の品種のお米を栽培するきっかけは何だったのですか?」
村上さん「自然食のレストランで、旭一号を初めて食べて美味しいと思い、そのとき昔の品種があると知って、その種を譲ってもらったのが始まりです」
    「今、栽培しているのは全て昔の在来品種なので、逆にヒノヒカリもどんな違いがあるか栽培してみたいですね」
坂本「栽培するにあたって今の品種と比べて違いがありますか?」
實取さん「まず背丈が高い。高温にも弱く、脱粒もしやすいですね」
坂本「お米の収量は少ないのですか?」
森さん「同じ条件で栽培したら、ヒノヒカリよりも穂増のほうが多かったですね」
冨田さん「雄町も収量はある程度あるね」
こんな感じで昔の品種のお米を栽培する同士でお米の味・栽培方法など興味深い話しが1時間程続いた。

 この食べ比べの中で森さんのこの言葉がとても心に残った。「近頃、お米はどれを食べても同じと言われる。江戸時代のお米屋はお米を食べてすぐその品種を言い当てたと言われています。なぜなら日本各地に在来品種のお米があって、その風土にあったお米の味があったからです。」そして私は想った、お米は日本人の主食、毎日食べる物だからこそ当たり前すぎてその成り立ちにはあまり意識を向けたことがなかった。この食べ比べを通じ意識が変わったと同時に自分でも自分が育った土地にあうお米品種を探し、栽培し風土の味を噛みしめ未来の子供達に受け継いでいければと。そして、同じ想いを持った生産者が増え、そのお米を噛みしめ各地の風土の味を楽しむ消費者が増えることを。

写真 / ayaco

 今回実施した「昔のお米食べ比べ4種セット」を数量限定で販売決定。 販売詳細は下記をご参照ください。

きくち村企画!昔のお米4種類の食べくらべセット(約450g×4種)



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