自然派きくち村

自然栽培、農薬・肥料不使用のお米とお野菜。
ストレスをかけない放牧された牛、豚、鶏のお肉。
こだわり抜いた調味料。
それらを使用した惣菜にスイーツ。

きくち村の小さな旅 第4回「日々を知る 2月」 2019年

 冬野菜も終盤を迎え、きくち村周辺の畑もとう立ちの野菜や耕うんを終えた畑の風景となってきた。この時期の楽しみといえば春・夏野菜の栽培計画を立て、いろんな種類の固定種や在来種の種を物色したり、毎年恒例の植木市に出かけ柑橘類や子供達の大好きなサクランボやりんごの苗木を数種買い数年後の収穫を楽しみに胸を躍らすことだ。

とう立ち野菜から咲くかわいらしい花、梅の花も開花してきた。

 そんなことを思いながら考えてみた、きくち村の野菜生産者のこの時期の“日々”とはどんなものだろうか。春・夏野菜の準備はどんなものだろうか。作業が無い日はなにをしているのだろうか。どんな物を食べているのだろうか。考えれば考えるほど気になってきた。

 今回の小さな旅はきくち村でもお馴染みの「冨田親由さん」。きくち村から車で10分程の田園地帯で全国的にも有名な米所「七城町」にあり言わずと知れた自然栽培のカリスマ生産者の一人である。一見強面の冨田さんだが実際にはとても優しく、(特に女性には!)毎日,きくち村の店舗にも顔をだしスタッフの体調を気遣ってくれたり、少しおっちょこちょいな心の広い素敵なおじさまである。

赤いジャンバーがトレードマークの冨田親由さん。

 早速、冨田さん宅を訪ねると長男の和孝君がちょうど米せんべいを焼いていた。冨田さんの米せんべいはきくち村でも人気の商品でお米栽培の繁忙期はお休みとなり、お米栽培のないこの時期限定のレアな商品である。冨田さんのお米・野菜栽培は家族経営でお米担当が長男の和孝君・野菜担当が長女の咲希さん、全体的な指揮を親由さんが行っている。

左:一枚一枚、米せんべいを焼く和孝君  右:焼きたてせんべいはここだけの特別な味

 「この時期の作業はどんなことを行っているのですか」唐突に聞いてみた、「この時期はなんもすることはなかたい! てれっとしとったい」と冨田さん。実際にはそんなことはなく農産物加工品の準備、麦畑の管理、大豆の選別、夏野菜向けての畑の準備など、なにかと作業がたくさんあるようだ。和孝君にも聞いてみた「この時期の気持ちはどんな感じかな」
「やっぱり、繁忙期よりも気持ちに余裕があり、4月から始まるお米栽培の準備のことや、将来の経営のことなど考えることのできる時期ですね」と穏やかな表情で答えてくれた。

左:種とり作業もこの時期の重要な作業  右:貴重な自然栽培の黒豆

 ふと納屋の柱や階段を見ると、多くのメッセージが残されていた。十数年前から毎年お米栽培の時期になると数十名の大学生ボランティアが訪れ、苗床作業を行った際のメッセージとのことだ。メッセージの内容を見るだけで冨田家の温かさが伝わってきた。農作業を通じ食のありがたみを実感してもらうことはもちろん、若者と交流しいろんなことを吸収することが楽しみだという。

納屋の柱や、階段にぎっしり書かれたメッセージ。学生にとっても貴重な体験だ。

 冨田さん宅を訪れたときとても平穏で穏やかな空気を感じとても心地よかった。この時期だけの特別な雰囲気かもしれないが家族皆が揃い同じ仕事をし、同じ目標を持ち、同じ時間を共有する。冨田さん家族にとっての当たり前の“日々”こそが今では特別なことであり、冨田さんのお米・雑穀・野菜・味噌・せんべいなどの商品が人気な理由は味はもちろんのこと、この“日々”にあると実感した。「幸せ家族」冨田さん商品の多くにつく商品名だがまさに“冨田さん家族”そのものだ。

冨田さんの関連商品の一部

文・写真

きくち村スタッフ:坂本信也
…きくち村に2013年入社。営業部所属・お米栽培

きくち村で日々てんてこ舞いになりながら働く傍ら
出勤前・休日には実家の「農園さかもと」で畑を耕す“リーマン農人”
きくち村の「畑から始まる商品作り」を実践するため日々奮闘中!

生産者の名前
きくち村スタッフ
坂本信也

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